自然ダムに沈んだ母の遺影が蘇る

 2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震により、200年の歴史に育まれた「湯栄館」通称「ランプの宿」は自然ダムに水没した。

 8代目当主三塚倉雄は、代々、血のにじむ努力で築きあげた温泉施設、家財、その全てを失った。

 

 それから半年、ダムの水位が14~5mに下がり宿の一部が姿を現したのを機に、三塚氏にはどうしても探し出したいものがあった。

 決死の覚悟で廃屋と化した建物に入り全身泥まみれの三塚氏が手にしていたものは・・・

 

 6ヶ月もの間、自然ダムの底に堆積した泥に埋まっていた母の遺影だった。

 

 その模様がTBSテレビ「ニュース23」で放送されたのを機に、そのボロボロになった遺影を須藤が修復することになった。


「三塚氏の母の遺影の復元、修復」 制作 須藤 眞啓

 完成した作品を手にした三塚氏は「最初、この遺影をきれいに直して頂けると聞いた時は嬉しくて大喜びだった。新しく完成した母親の遺影に見守られながら旅館を再建するんだという意欲が湧いてきた。いつか宿を再建できた時には一番先に須藤さんを客として招きたい」と満面の笑顔で話してくれた。

 

 この模様は、2009年2月3日、TBC「イブニングニュース」の特集として放送された。


撮影で須藤を訪ね、手作りケーキを食べながら談笑する三塚氏。


 

岩手県一関にて、完成した作品をプレゼントする須藤と嬉しそうに受け取る三塚氏。


須藤と三塚氏は母親の遺影を通じてかけがえのない絆で結ばれた。